つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)つじもと清美 公式 参議院議員 立憲民主党(全国比例代表)

活動報告・国会質問・質問主意書

安倍総理が「早く質問しろよ」発言、三権分立の基本をおわかりでないのか?

2015.5.28

国会ブログ

2015年5月28日の衆議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」において、質疑中の私に対して安倍首相は「早く質問しろよ」とヤジを飛ばし、発言を妨げました。
私が「自衛隊員のリスクが増えるのではないか」「武力行使の報復により国民にテロの可能性が高まるのではないか」と自衛隊員や国民の命の問題を取り上げていた最中の総理からのヤジ。これは、「そんな話はいいからオレに早く話をさせろ」という態度に見えました。

このヤジを問題にした民主党の緒方林太郎委員に対して、総理は「さきほど辻元議員が、時間が来たのに延々と自説を述べて、いわば私に質問をしないというのは答弁をする機会を与えないということですから、早く質問をしたらどうだということを言ったわけでありますが、しかし言葉が少し強かったとすれば、それはお詫びを申し上げたい」と答弁しました(緒方委員が指摘しているように、私の質問は民主党の時間内でした)。

安倍総理のヤジは、私ひとりの問題ではありません。立法府の委員の質疑を、行政府の長が妨げるということは、三権分立や民主主義の基本がわかってないといわざるをえません。

なお、この日の質疑で、「新三要件が満たされれば、他国の領土,領海、領空でも武力行使ができるのか」と繰り返し私が質問したところ、安倍総理はようやく「法理上ではありうる」と認めました(本来この内容こそ、もっともみなさんにお伝えしたい本日の質疑の成果です)。

安保法制の議論がはじまり、私は「日本が戦争に踏み切る基準の変更」について議論していると理解しています。いま、国民がもっとも関心をもっているのは、「命」の問題です。引き続き、委員会で法案の問題点を指摘していきます。

※事務所注:ネット上には、「辻元が30分以上演説し、総理がいらだった」というデマが流されています。
・安倍総理が不規則発言を行ったのは、辻元が発言を始めてから3分50秒の時点です。
・問い合わせも多いため、下記にテープおこしを掲載します。
・辻元が示した米国統合参謀本部の資料は、『統合参謀本部刊行物3-15:共同作戦行動のための障壁、障碍及び機雷戦』(訳・辻元清美事務所)です。
http://www.dtic.mil/doctrine/new_pubs/jp3_15.pdf
上記資料のなかのP68です(出典:水島朝穂早稲田大学教授HP「直言(2014年6月23日)」【ホルムズ海峡の機雷掃海――安倍首相の「妄想」】より)
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2014/0623.html

予算委員会

●2015年5月28日衆議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」
速記録(辻元事務所によるテープおこし・抜粋)

辻元 中谷大臣が記者会見されているのは、新三要件だから三つにあてはまった場合は、他国の領土,領海、領空でも行ける、と記者会見でおっしゃったので、総理も法理上は行けるという立て付けですね、この今回の法案は、と聞いています。

安倍総理 法理上においては、そのために法制局長官がいますから、法理上の答弁をするのは法制局長官が答弁するのがふさわしいんですが、答弁の中身から言っても。純粋法理上ではありうるというのは先ほども申し上げたとおりです。それをもう少し詳しくだったら、法制局長官が答えたほうがいいと思いますが。しかし、くり返しになりますが、それはいわば机上における、法理上ですから、法理上であるということは申し上げておきたい。政策上はホルムズ以外は念頭にないということはくり返し申し上げておきたいと思います。
(略)
辻元 日本の同盟国は米国だとよく言われていますけれども、これはアメリカの統合参謀本部の資料です。ここにちゃんと機雷作戦というのが出てるんですね。これ、戦争の一環ですよ、機雷作戦は。そしてこの機雷作戦の中には能動的なものと受動的なものもあるんです。そして受動的なものは、脅威の特定とかが受動的で、機雷の探索や機雷の掃海や無力化は能動的行為なんです。それを武器等防護と同じ、受動的、限定的と、要するに、ホルムズ海峡の掃海を例外として、その根拠として、受動的、限定的という言葉をずっとお使いになっているわけです。国際的に見たら、通用しません。
ですから、この言葉は今後お使いにならないほうがいいと思う。能動的なんですよ、アメリカだって能動的って言っているわけですよ。

総理、なぜこれを言うかというとですね、機雷掃海というのは、今まで湾岸戦争のときも、サウジアラビアは自分の領域に機雷が来るかもしれないと掃海しました、停戦前に。あとアメリカとイギリスだけなんですよ。これ、どういうことかというと、戦闘当事国しかやってないですよ。停戦前に行くということは、非常に危険度が高いんです。停戦後に行っても、危険度が高いんです。
ですから、機雷の掃海だと言って、相手から攻撃される可能性もあるわけです。もしも攻撃されたらどうするんですか? ミサイルで。そこから戦火が広がるんじゃないですか? そして、中東諸国も含めて、日本が機雷の掃海に行くということは、相手国から見れば敵国になるわけです。そうすると私は心配しているのは、日本国内や日本人も敵国の国民になって、テロに狙われる可能性は増えると思いますよ。そして、自衛隊も任務が増えるわけですから、自衛隊員が死亡したり被害が出る、このリスク、リスクの論理がありますけど、増えると思いますよ。

ですから、受動的とか能動的とかそんな言葉で言うのではなくて、ちゃんと、機雷の掃海って海の掃除に行くのと違うんです。軍事作戦行動の一環なわけです。ですから、日本人が機雷の掃海に行ったことによって、世界中でテロに狙われたり、日本国内もテロで狙われるということにもつながりかねないです。
なぜそのことを申し上げるかというと、総理はちょうど一年前の今日のこの委員会で、大串委員への質問なんですよ。「なんらかの事態がありえないというのは、それはまったくいわば現実から目を背けているダチョウの論理に近いわけでありまして、起こってもらいたくない論理には目を背けるということであります」と。

要するに戦争というのはリアクションがあるんです。ちょっとだけよ、って行っていつも大きな戦争に広がっていってるわけです。総理はこうもおっしゃってますよ。
(安倍内閣総理大臣「早く質問しろよ」と呼ぶ)
絶対にないという……委員長! 総理大臣が質問者に対して「早く質問しろよ」と言って、ご自身の答弁は延々とされてきたんじゃないですか、みなさんそうでしょう!?

浜田委員長 速記を止めてください。

辻元 答弁けっこうですもう。早く質問しろよという総理大臣に、今、もう答弁はけっこうです。私はとても、寂しい気分というか情けない気分になりました。今これ、人の生死とか戦争にかかわる話しですよ。

浜田委員長 静かにしてください。辻元さん、質疑を続行してください。

辻元 私は、さきほど大げさなことを申し上げたんじゃないんですよ。実際にこないだ、ISILにふたり捕まったり、邦人がテロに狙われているわけです。これは世界中で、たとえば湾岸戦争にちょっとでも参加している国は、非常にそこの国の国民は、誤解もありますよ、でも、テロに狙われたりする率はすごく高くなっている社会なんですよ。
総理はこうおっしゃってます。「起こりうるかもしれないことについて絶対ないと言い切る政治家は無責任」、去年の今日、ここでおっしゃったんですよ。ですから起こりうるリスク、総理は目の前のことしか見ていない。そのあとに何が起こるかということをしっかり考えていただきたいということを申し上げて質問を終わります。

緒方委員 まず質疑に入ります前に、総理に一言申し上げたいと思います。今回の審議で、すでに答弁が長い、そして当ててもいないのに答弁に立つ、そして今は、何ですか、質問をしろよと。反省の弁を求めたいと思います。

安倍総理 指名権は委員にはありません。そのことをよく勉強したほうがいいと思いますよ。指名権は基本的に委員長にあるわけでありまして、委員長が委員会の議事進行を仕切るわけであります。指名権については委員長が持っていると申し上げたいと思います。そのことを申し上げておいて、ていねいに答弁を私はしているわけですし、わかりやすく答弁をしているわけであります。その上において、さきほど辻元議員が、時間が来たのに延々と自説を述べて、いわば私に質問をしないというのは答弁をする機会を与えないということですから、早く質問をしたらどうだということを言ったわけでありますが、しかし言葉が少し強かったとすれば、それはお詫びを申し上げたいと思います。

安倍総理 まさに私は総理大臣として責任を持っていますから、最終的に答弁をするのは私が答弁をしなければいけないということで、再三手を挙げて、委員長に指名をしていただこうと思ったわけです。そこで委員長から指名されたら答弁するのは、私は委員会の運営として、議事運営としては委員長が仕切るわけですから、当然のことではないかと思います。
また、辻元委員につきましては、私としては、答弁によって国民に説明をしなければいけませんから、誤解を与えないように答弁をさせていただきたいと思っていたわけでございますが、言葉が過ぎたとすればお詫びをしたいと思います。

緒方委員 民主党の持ち時間の範囲内なんですよね。総理が「さっさと質問しろ」とかそんなこという権利ないですよ。反省を求めたいと思います。