3月23日、私は衆議院の予算委員として森友学園・籠池理事長の証人喚問に立ち合い、各委員の質問に耳を凝らしました。民進党の枝野幸男議員の質問で、さまざまなことがわかり、私が考えていた以上に安倍昭恵夫人の関与があったことには驚きました。
籠池氏が立ったのですから、昭恵夫人も証人喚問すべきです。公的な度合いはむしろ高いのですから、総理夫人だからといって免れるものでありません。
委員会室がどよめいたのは、国有地の定期借地契約の延長をめぐり、総理夫人付きの職員が籠池氏の依頼を受け、財務省に問い合わせ回答を得たことを示すファックスが出てきたとき。あの枝野さんが「にわかに信じられない」と言葉を震わせました。
このFAXについて政府は「夫人は中身に関与していない」「ゼロ回答の内容で、事務的な問い合わせに過ぎない」と強弁していますが、ふざけています。
なぜ籠池氏が直接役所に問い合わせなかったのか。問い合わせを受けた役所に、これは総理夫人案件だと伝えるために決まっています。
誰が聞いてくるかによって、役所の対応レベルも違う。だからこそ、いままでの総理夫人は決してこんなことに関与しなかったし、こんな「問い合わせ」ができてしまう職員を官邸に配置することはなかったのです。起こるべくして起きたことでしょう。
問い合わせの中身も「事務的」どころか、国有地の定期借地契約や埋蔵物の撤去、工事費の立て替え払いの予算化というもの。
結果、「平成28年度での予算措置を行う方向で調整中」という回答を財務省から引き出しています。
<問題点>
総理夫人付きから「問い合わせ」があれば、役所は「総理夫人は関心があるぞ」というメッセージとして受け止めるのが普通。民間企業だって、一案件について社長室から問い合わせがあれば同じでしょう。
そして塚本幼稚園の講演やスキーに職員が同行したこと、これまで1名・非常駐だった「総理夫人付き」が、第二次安倍政権になって突然5人(うち2人は常駐)になったことについて私は追及してきました。私が出した質問主意書に対する答弁などで、政府は以下のように答えています。
「当該職員は、安倍総理夫人の私的な行為に対する支援は行っていない」「職員が、総理公務補助を支援すべき旨の国家公務員法(略)に従い、自ら判断し、行っている」
つまり、総理夫人付きの職員は「私的な行為に対する支援は行っていない」と政府が閣議決定している以上、籠池氏からの問い合わせ対応は「総理の公務」(の補助)だったということになるのです。
<問題点>
「職員は、私人である総理夫人の私的行為には関わらない」と政府が言い張っていたことと矛盾します。
国有地の件については、稲田防衛大臣の夫である弁護士に相談したこともわかりました。近畿財務局や大阪航空局の職員とも、夫の法律事務所で会ったとのこと。いったいどんな内容が話されたのか、明らかにする必要があります。
証人喚問のなかでも、自民や維新の議員が「偽証罪に問われるぞ」と籠池理事長を脅すような場面が目立ちました。籠池理事長は記者会見でこういいました。
「異常事態。総理を侮辱したというだけで、私人を喚問する国はどこにあるのか」。
これまで与党は籠池氏や関係者の参考人質疑にまったく応じようとしなかったのに、昭恵夫人の寄付金の話が出たとたんに、それより厳しい証人喚問が決まったのです。
証人喚問の目的は「真相究明」のはず。でもそれをいうと、昭恵夫人をはじめ全員を証人喚問しなければならなくなる。だから、強烈な個性の籠池理事長をやり玉にあげることでごまかそうとしているのです。
政府はこれまで、「(国有地の問題で)政治家の関与はなかった」とくりかえしています。では「私人」である昭恵夫人は・・・?
27日には来年度予算案が成立する予定ですが、この問題の真相究明はこれからです。